タナゴについて
日本産淡水魚の中でも人気の高いタナゴ。
その理由は、繁殖期のオスに見られるとても鮮やかな婚姻色や二枚貝へ卵を生みつけるという感動的なシーンを目の前で観察できるからだと思います。タナゴ釣りをする人もたくさんいて、自分で釣ったタナゴを持ち帰り飼育する方も増えています。
海水魚や熱帯魚とはまた違った、日本の詫びサビを感じながら飼育する事ができるでしょう。
タナゴの飼育について
タナゴを飼うには45cm水槽(約35L)以上がオススメです。
タナゴにも小型、中型、大型の種類があり、最大でも15cm程です。 カゼトゲタナゴなどの小型種なら水槽の水2〜3Lあたり1匹、アブラボテなどの中型種なら水槽の水5Lに1匹、カネヒラやヤリタナゴなどの大型種は水槽の水10Lに1匹以下が良いとされています。
60cm水槽ならカネヒラを2〜3ペアーが目安となります。
フィルターは外掛け式フィルターや上部式フィルター、外部式フィルターなどのバクテリアを繁殖できるタイプを選びましょう。
外掛け式フィルターは20L前後の小型水槽向きで、45cm水槽や60cm水槽なら上部式フィルターか外部式フィルターがオススメです。エアーポンプで動かす投げ込み式フィルター、スポンジフィルターや底面式フィルターなども兼用すると、さらに管理が楽になるでしょう。
タナゴの適温は20℃前後で、水温5℃〜30℃の間であれば、急激な水温変化が無い限り大丈夫です。しかし冬も元気良く泳ぎ回り、エサを食べる様子が観察したいのであれば、ヒーターを使って15℃以上に保温しましょう。 夏は涼しい場所にセットするか、水槽用冷却ファンなどで水温を30℃以下に保ちましょう。二枚貝も飼育してタナゴの繁殖を狙うのであれば、水槽用クーラーなどを使って水温を20℃〜25℃に保ちましょう。水槽の大きさやフィルターの能力、魚の匹数などによって水換え回数は違ってきますが、目安として30%程度の水換えを1ヶ月に2回すると良いでしょう。 水温がOKなのに食欲が落ちたり、あまり泳がなくなったり、突然コケが増えてきたり、水面が泡立ったりしてきたら、直ぐに水換えをしてバクテリアや水質浄化材を入れましょう。
タナゴは昼行性の魚なので、観賞面だけでは無く、暗い環境だと水草の育成やタナゴの成長・色揚げにも影響があると言われていますので、照明も用意しましょう。
昼と夜のメリハリをつける為に1日8〜10時間は点灯をしましょう。タナゴ水槽の水草には丈夫なアナカリス(オオカナダモ)やマツモ、カボンバなどが良いでしょう。特にカネヒラなどのタナゴは草食性が強く、水草を好んで食べてしまいますが、とても良い栄養源なので時々与えましょう。 ほとんどのタナゴは春産卵で、水温が20℃以上になってきたら、産卵行動を起こします。できれば早めに、40〜45cm水槽にエアーポンプで動かす底面式フィルターと5〜10cmの底砂(ソイル、セラミック、田砂)に二枚貝を5〜10個入れた、産卵水槽を準備しましょう。タナゴのメスから産卵管(金魚のフンのようなもの)が出てきたら、キレイなオス(2匹)と産卵管の出ているメス(3匹)を産卵水槽に入れます。二枚貝はタナゴの種類により多少の好みがあり、メス1匹に対して2〜3個がオススメです。
稚魚は受精後23日程で貝から出てきますので、親タナゴを入れてから20日後には魚をすべて飼育水槽に戻しましょう。
浮上するのが遅い固体もいるので、ここから30日間はこのままにしましょう。 稚魚が浮上したら、このままの水槽で育てても良いですし、もう1回産卵をさせるのであれば、稚魚をさらに別の水槽に、親タナゴをまた産卵水槽に移します。
この作業を繰り返すと効率よく何度か稚魚が取れるでしょう。
簡単なタナゴ飼育セット(水槽用クーラーは別途)なら10,000円〜15,000円で用意でき、電気代やエサ代などの維持費も月1,000円前後で済むでしょう。
タナゴは環境が良いと3〜5年は生きます。
現在日本のタナゴは自然界から絶えつつあり保護が必要です。
販売されているタナゴの多くは養殖されており、そのまま簡単に水槽飼育できます。
絶えつつある日本古来の美しさを是非一度鑑賞してみてください。